ホットヨガに科学的根拠なし
通常のヨガに比べてホットヨガのほうが効果あるという主張には、十分な科学的根拠がないと考えます。むしろ健康へのマイナスの影響を憂慮すべきだと思います。
デトックス効果はない
まず、「ホットヨガをすると汗がたくさん出るため、デトックスできる」という説がありますが、これは根拠が極めて乏しいといえるでしょう。
汗をかいても毒はあまり出ない
人間の体外への毒素排出の中で、汗が占める割合は3%以下だと言われています。 とりわけ毒素のうち「汚染物質」の排出に関していえば、最近の調査ではわずか「0.02%」だけです。
カナダのオタワ大学の運動生理学者パスカル・インベルト氏が学術誌「Environment International」に発表した研究結果によると、「普段の食生活で体内に取り込む汚染物質のうち、汗で出る量は0.02%。さらに運動を激しくしたとしても、0.04%程度までしか増えない」といいます。
そもそも、汗のほとんどは、水と塩分でできています。
便や尿が圧倒的に大事
これに対して、便は毒素排出の75%、尿は20%を占めています。
便秘解消
デトックスをしたければ、便秘をなくして、便をスムーズに体を排出することが何より大切です。それと、腎臓と肝臓の調子を整えて、解毒機能をしっかりと保つことでしょう。いくら大量に汗をかいても、デトックスの効果は極めて薄いということです。
痩せる効果は少ない
一方、米コロラド州立大学が2014年に行った研究では、ホットヨガに痩せる効果は、僅かだという結論が出ました。
研究を行ったのは、同大のブライアン・トレーシー教授らのチームです。米国で最も人気があるホットヨガ「ビクラム・ヨガ」を8週間やったところ、体重の減少はゼロではないが、たいへん小幅だったといいます。
http://time.com/2967716/you-asked-is-hot-yoga-good-for-you-and-for-weight-loss/
暑苦しいなかで、ハードなポーズに耐え抜くわりには、痩せる効果が乏しいということです。 他の種目をやったほうが、より効率的にダイエットができます。
冷え性
ホットヨガをすると、冷え性が解消されると考えている人が多いようです。 しかし、それは「冷え性」が治るのでなく、一時的に体が温かくなるだけです。 つまり、体質が変わって、冷えにくくなるというわけではありません。
自律神経の「体温調整力」が低下
むしろ、急に熱い部屋に閉じこめられることで、本来私たちの自律神経が持っている「体を温める」という機能が低下する恐れがあります。そうなると、冷え性がさらに悪化する可能性があるということです。
冷え性を改善したいなら、例えばスクワットなどの筋力トレーニングで筋肉を増やして、熱をたくさん作れる体質にしたほうがいいです。
それと、常温の環境で運動を行って、血行を改善したほうがいいです。
健康に悪い面も
常温ヨガが良い
また、ホットヨガ健康にダメージを与える悪い面も指摘されています。 ニューヨーク市立大学のファラード・カーン(Fahad Khan)准教授は、「脱水症状」のリスクを強調。上記のような体温調整システムの機能低下の危険性も指摘しています。 常温ヨガならこのようなリスクは少ないです。